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特殊講座2025年度秋学期受講生の皆さまへ(2025年9月16日更新)

2025年度秋学期の履修申告に際し、科目担当教員からのメッセージを掲載いたします。

◆ペルシア語初級・中級 (村山 木乃実)
 ペルシア語は、イラン、アフガニスタン、タジキスタン、パキスタンの一部などで話されている言語です。文字の習得には少しハードルがありますが、文法は日本語と似ているため、日本語話者にとっては親しみやすい言語だと思います。
 特にイランではペルシア語が公用語となっており、この授業ではペルシア語の学習に加えて、イランの文化についても学びます。現在、イランは国際関係の問題でメディアで取り上げられることが多いですが、授業では中立的な立場から、古代から現代に至るまでの多文化的で豊かな文化的側面も学んでいきます。イスラーム以前の古代文化、シーア派、多民族社会、文学、音楽、映画、ディアスポラなど、多岐にわたるテーマを、みなさんの興味・関心に合わせて深掘りしていきましょう。
 この授業は主にオンデマンド方式で行いますので、履修者のみなさんはご自身のスケジュールに合わせて受講できます。秋学期からは、春学期で学んだ内容の復習から始めますので、秋学期から新たに履修する方も安心して参加できます。
 中級クラスでは、文法を復習しながら、履修者の関心に合わせたテキストを読み進めていきます。中級クラスを受講する方は、初級クラスを履修していることが望ましいですが、履修していなくても受講は可能です。履修者のレベルに合わせて柔軟に対応しますので、遠慮なくご相談ください。
 みなさんの履修を心よりお待ちしております。

◆ビルマ(ミャンマー)語初級・中級 (加藤 昌彦)
 東南アジア地域には、オーストロネシア諸語、オーストロアジア諸語、タイ・カダイ諸語、チベット・ビルマ諸語、ミャオ・ヤオ諸語などに属する様々な系統の諸言語が分布しています。公用語となっている主要な言語だけを見ても、フィリピン語とムラユ語(マレーシア語やインドネシア語はムラユ語の一種です)とテトゥン語はオーストロネシア系、ベトナム語とクメール語はオーストロアジア系、タイ語とラオ語はタイ・カダイ系、ビルマ語はチベット・ビルマ系に属します。これらの諸言語のうちオーストロネシア系、オーストロアジア系、タイ・カダイ系、ミャオ・ヤオ系の諸言語は多くがSVOあるいはVSOといった、いわゆるVO型の語順を持ちますが、チベット・ビルマ系の言語の多くは日本語と同じSOV型語順を持ち、ビルマ語もその例外ではありません。例えば、ビルマ語を簡略化した発音表記で示しますと、thamin sa「ご飯を食べよ」という文は、thamin「ご飯」とsa「食べる」という単語から成り立っており、日本語と同じ語順になっていることが分かります。基本語順が同じ言語では他の特徴も似てくることが知られています。ビルマ語も名詞や動詞に様々な要素が後置されるという点で日本語と同じ特徴を持っており、そのため日本語話者にとっては文の構造の理解が他の東南アジアの主要言語に比べて容易です。ただし、固有の文字を使うことや発音の特徴(声調がある、無気音・帯気音の区別がある等)から来る習得の困難さがあることも事実です。
この授業は次のような人にお勧めします。
(1)日本語と似たタイプの言語でどのようなことが起きるのか知りたい人。
(2)東南アジア諸言語に興味がある人。(ビルマ語には他の東南アジア諸言語と共通する特徴もたくさんあります。)
(3)東南アジア事情を深く知りたい人。
※(3)の点に関して補足しておきますと、2021年以降、ミャンマーは政情が極めて悪化しているため、現地でビルマ語を使いたいと思ってもなかなか行くことはできません。現在現在(2025年9月5日)の時点では、外務省から、ミャンマー全域にレベル3(渡航中止勧告)あるいはレベル2(不要不急の渡航中止)の危険情報が出ています。履修する場合はこのことを予め理解しておいてください。ミャンマーの政情不安の一因として、ミャンマーが様々な言語系統の言語を話す多種多様な民族からなる他民族国家であることが挙げられます。実は、上に挙げたすべての系統の言語がミャンマー国内で話されています。ミャンマーは、異なるアイデンティティーを持つ人々が一つの国をいかに運営するかという課題に何十年も直面してきました。