• ホーム
  • 特殊講座2024年度受講生の皆さまへ(2024年3月13日更新)

特殊講座2024年度受講生の皆さまへ(2024年3月13日更新)

2024年度の履修申告に際し、科目担当教員からのメッセージを掲載いたします。

◆サンスクリット初級・サンスクリット中級(入山 淳子)
サンスクリット語の文はどういうつくりになっているのか。
そう思われる方々に。イメージを少し紹介します。

sarvadravyeshu vidyaiva dravyam aahur anuttamam /
ahaaryatvaad anarghyatvaad akshayatvaac ca sarvadaa // (音声符号略)

これは格言です。単語を元の形に戻すと、

sarva-  dravya-  √vid eva  dravya- √ah  an - uttama-
あらゆる 資産  知る こそ     言う  (否定) 最上の
a - √hr - tva-   an - √argh - tva-  a - √kshi - tva- ca sarva - daa
(否定) 奪う (抽象名詞化)  価値をもつ    朽ちる    そして   時に

文の作り手は、ルールに従って単語の頭・中・尾に変化を加えます。
ルールが多いのは、受け手に違うことなく思いを伝えるためです。
受け手たちも怒涛の音形変化を乗りこなし、作り手が待つ彼岸へ。

「あらゆる資産のなかで学術こそは上なき資産とひとは言う。
いかなる時も奪われ得ず、価知れず、また朽ちぬ故に。」

資産づくり(受講)したくなったでしょうか。


◆ビルマ(ミャンマー)語初級・ビルマ(ミャンマー)語中級(加藤 昌彦)
 東南アジア地域には、オーストロネシア諸語、オーストロアジア諸語、タイ・カダイ諸語、チベット・ビルマ諸語、ミャオ・ヤオ諸語などに属する様々な系統の諸言語が分布しています。公用語となっている主要な言語だけを見ても、フィリピン語とムラユ語(マレーシア語やインドネシア語はムラユ語の一種です)とテトゥン語はオーストロネシア系、ベトナム語とクメール語はオーストロアジア系、タイ語とラオ語はタイ・カダイ系、ビルマ語はチベット・ビルマ系に属します。これらの諸言語のうちオーストロネシア系、オーストロアジア系、タイ・カダイ系、ミャオ・ヤオ系の諸言語は多くがSVOあるいはVSOといった、いわゆるVO型の語順を持ちますが、チベット・ビルマ系の言語の多くは日本語と同じSOV型語順を持ち、ビルマ語もその例外ではありません。例えば、ビルマ語を簡略化した発音表記で示しますと、thamin sa「ご飯を食べよ」という文は、thamin「ご飯」とsa「食べる」という単語から成り立っており、日本語と同じ語順になっていることが分かります。基本語順が同じ言語では他の特徴も似てくることが知られています。ビルマ語も名詞や動詞に様々な要素が後置されるという点で日本語と同じ特徴を持っており、そのため日本語話者にとっては文の構造の理解が他の東南アジアの主要言語に比べて容易です。ただし、固有の文字を使うことや声調を持つことから来る習得の困難さがあることも事実です。
 この授業は次のような人にお勧めします。
(1)日本語と似たタイプの言語でどのようなことが起きるのか知りたい人。
(2)東南アジア諸言語に興味がある人。(ビルマ語には他の東南アジア諸言語と共通する特徴もたくさんあります。)
(3)東南アジア事情を深く知りたい人。(この点に関して補足しておきますと、2021年以降、ミャンマーは政情が極めて悪化しているため、現地でビルマ語を使いたいと思ってもなかなか行くことはできません。履修する場合はこのことを予め理解しておいてください。ミャンマーの政情不安の一因として、ミャンマーが様々な言語系統の言語を話す多種多様な民族からなる他民族国家であることが挙げられます。実は、上に挙げたすべての系統の言語がミャンマー国内で話されています。ミャンマーは、異なるアイデンティティーを持つ人々が一つの国をいかに運営するかという課題に何十年も直面してきました。)

◆ヴェトナム語初級(嶋尾稔)
 シラバスに記した通りですが、隔週でオンライン形式とオンデマンド形式の講義を行う予定です。ただ、教室は用意してありますので、対面方式を希望される方があれば、対面方式を併用することも可能です。4月8日(月)4限は142C教室からオンライン形式の講義を行います。対面方式を希望される方は教室にいらっしゃってください。

◆ヴェトナム語中級(嶋尾稔)
 言語文化研究所特殊講座の中級コースは原則として初級履修者を対象にしているのですが、ヴェトナム語中級はヴェトナム語未修者の受講を認めます。英語で書かれたヴェトナム語文法書を読んでいきます。未修者にも理解できるように例文を丁寧に説明していくことにいたしたいと思います。
 シラバスに記したとおりオンデマンド形式で行います。質問やコメントなどはKLMSのメール機能やディスカッション機能を用いてお寄せください。発音などを確認したい場合は対面方式で対応することも可能です(言語文化研究所〈南別館〉の会議室で対応します)。

◆ヴェトナム語文献講読(嶋尾稔)
 この講義は三田メディアセンターが所蔵している植民地期ヴェトナムの習俗を描いたデッサン集に付されたヴェトナム語の解説文(字喃表記の部分とローマ字表記の部分があります)を読んでいきます。とくに20世紀初頭のヴェトナムの食文化について記した部分を読んでいきます。
 ヴェトナム語未修者の履修も認めます。ヴェトナムの食文化に関心のある方も歓迎します。
 質問やコメントなどはKLMSのメール機能やディスカッション機能を用いてお寄せください。発音などを確認したい場合は対面方式で対応することも可能です(言語文化研究所〈南別館〉の会議室で対応します)。
 このような内容の講義を行うのは今回が初めてです。講義の進め方についてもいろいろご意見いただければ幸甚です。

◆カンボジア語初級(福富友子)
この授業はすべて対面で行います。子音文字と発音記号を組み合わせて表すカンボジアの文字の仕組みはやや複雑さがありますが、個々の語彙は変化することがなく文法事項も大変シンプルで、単語を覚えていけば文章が作れるようになります。また、東京にいてもカンボジアフェスティバルや大使館での催しなど、カンボジアに親しむ機会があります。カンボジアや東南アジアの言語に興味のあるかた、どうぞおそれず履修してください。