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特殊講座2025年度秋学期受講生の皆さまへ(2025年9月24日更新)

2025年度秋学期の履修申告に際し、科目担当教員からのメッセージを掲載いたします。

◆ヴェトナム語初級 (嶋尾稔)
 ヴェトナム語文法の最も基本的な事項(前期の講義内容に相当する)を履修していることを前提に進めますが、教科書は前期とは別の初級会話のテクストを用いますので、ヴェトナム語未修者でもやる気のある方の受講は認めます。シラバスに記した通りですが、隔週で対面―オンライン併用形式とオンデマンド形式の講義を行う予定です。対面―オンライン併用方式の回にオンラインで参加される方は声を出して発音練習が出来る場所で参加するようにしてください。10月6日(月)の初回は対面―オンライン方式です。基礎事項の確認から始めます。また講義に対する要望など、その時お聞きしたいと思います。

◆ヴェトナム語中級 (嶋尾稔)
 前期に引き続き、英語で書かれたヴェトナム語文法書(シラバス参照)を読んでいきます。前期の講義を受講していない方が受講を希望される場合は既習箇所(pp.1-72)に目を通して履修してください。初回は基礎事項の確認から始めます。シラバスに記したとおりオンデマンド形式で行います。質問やコメントなどはKLMSのメール機能やディスカッション機能を用いてお寄せください。発音などを確認したい場合は対面方式で対応することも可能です(言語文化研究所〈南別館〉の会議室で対応します)。

◆ヴェトナム語文献講読 (嶋尾稔)
 前期に引き続き、三田メディアセンターが所蔵している植民地期ヴェトナムの習俗を描いた版画集・デッサン集に描かれた20世紀初頭北部ヴェトナムの食文化について検討したいと思います。当時の代表的な料理や食品について、古今のヴェトナム語辞書の関連項目の記述を読むことでヴェトナム語に触れていただくと同時に食文化の持続と変化を見ていきます。版画集には解説文がついているのですが、そこから少し古い時代のヴェトナム語表記(字喃と呼ばれます)を知ることができます。最後にyoutubeに現地のベトナム人が投稿した動画を通して、それらの料理や食品の実態を確かめたいと思います。
 ヴェトナム語未修者の履修も認めます。ヴェトナムの食文化に関心のある方も歓迎します。初回の講義ではテクストの解説とヴェトナム語および字喃の解説から始めます。その部分については前期履修者は飛ばしてもかまいません。
 オンデマンド形式で行います。質問やコメントなどはKLMSのメール機能やディスカッション機能を用いてお寄せください。発音などを確認したい場合は対面方式で対応することも可能です(言語文化研究所〈南別館〉の会議室で対応します)。

◆ペルシア語初級・中級 (村山 木乃実)
 ペルシア語は、イラン、アフガニスタン、タジキスタン、パキスタンの一部などで話されている言語です。文字の習得には少しハードルがありますが、文法は日本語と似ているため、日本語話者にとっては親しみやすい言語だと思います。
 特にイランではペルシア語が公用語となっており、この授業ではペルシア語の学習に加えて、イランの文化についても学びます。現在、イランは国際関係の問題でメディアで取り上げられることが多いですが、授業では中立的な立場から、古代から現代に至るまでの多文化的で豊かな文化的側面も学んでいきます。イスラーム以前の古代文化、シーア派、多民族社会、文学、音楽、映画、ディアスポラなど、多岐にわたるテーマを、みなさんの興味・関心に合わせて深掘りしていきましょう。
 この授業は主にオンデマンド方式で行いますので、履修者のみなさんはご自身のスケジュールに合わせて受講できます。秋学期からは、春学期で学んだ内容の復習から始めますので、秋学期から新たに履修する方も安心して参加できます。
 中級クラスでは、文法を復習しながら、履修者の関心に合わせたテキストを読み進めていきます。中級クラスを受講する方は、初級クラスを履修していることが望ましいですが、履修していなくても受講は可能です。履修者のレベルに合わせて柔軟に対応しますので、遠慮なくご相談ください。
 みなさんの履修を心よりお待ちしております。

◆ビルマ(ミャンマー)語初級・中級 (加藤 昌彦)
 東南アジア地域には、オーストロネシア諸語、オーストロアジア諸語、タイ・カダイ諸語、チベット・ビルマ諸語、ミャオ・ヤオ諸語などに属する様々な系統の諸言語が分布しています。公用語となっている主要な言語だけを見ても、フィリピン語とムラユ語(マレーシア語やインドネシア語はムラユ語の一種です)とテトゥン語はオーストロネシア系、ベトナム語とクメール語はオーストロアジア系、タイ語とラオ語はタイ・カダイ系、ビルマ語はチベット・ビルマ系に属します。これらの諸言語のうちオーストロネシア系、オーストロアジア系、タイ・カダイ系、ミャオ・ヤオ系の諸言語は多くがSVOあるいはVSOといった、いわゆるVO型の語順を持ちますが、チベット・ビルマ系の言語の多くは日本語と同じSOV型語順を持ち、ビルマ語もその例外ではありません。例えば、ビルマ語を簡略化した発音表記で示しますと、thamin sa「ご飯を食べよ」という文は、thamin「ご飯」とsa「食べる」という単語から成り立っており、日本語と同じ語順になっていることが分かります。基本語順が同じ言語では他の特徴も似てくることが知られています。ビルマ語も名詞や動詞に様々な要素が後置されるという点で日本語と同じ特徴を持っており、そのため日本語話者にとっては文の構造の理解が他の東南アジアの主要言語に比べて容易です。ただし、固有の文字を使うことや発音の特徴(声調がある、無気音・帯気音の区別がある等)から来る習得の困難さがあることも事実です。
この授業は次のような人にお勧めします。
(1)日本語と似たタイプの言語でどのようなことが起きるのか知りたい人。
(2)東南アジア諸言語に興味がある人。(ビルマ語には他の東南アジア諸言語と共通する特徴もたくさんあります。)
(3)東南アジア事情を深く知りたい人。
※(3)の点に関して補足しておきますと、2021年以降、ミャンマーは政情が極めて悪化しているため、現地でビルマ語を使いたいと思ってもなかなか行くことはできません。現在現在(2025年9月5日)の時点では、外務省から、ミャンマー全域にレベル3(渡航中止勧告)あるいはレベル2(不要不急の渡航中止)の危険情報が出ています。履修する場合はこのことを予め理解しておいてください。ミャンマーの政情不安の一因として、ミャンマーが様々な言語系統の言語を話す多種多様な民族からなる他民族国家であることが挙げられます。実は、上に挙げたすべての系統の言語がミャンマー国内で話されています。ミャンマーは、異なるアイデンティティーを持つ人々が一つの国をいかに運営するかという課題に何十年も直面してきました。