特殊講座2026年度春学期受講生の皆さまへ(2026年3月31日更新)
2026年度春学期の履修申告に際し、科目担当教員からのメッセージを掲載いたします。
◆ヴェトナム語初級(嶋尾 稔)
シラバスに記した通りですが、隔週で対面―オンライン併用形式とオンデマンド形式の講義を行う予定です。対面―オンライン併用方式の回にオンラインで参加される方は声を出して発音練習が出来る場所で参加するようにしてください。4月13日(月)の初回は対面―オンライン方式です。初回につづり字と発音の基礎を一気にお話しする予定ですので必ず参加してください。また講義に対する要望など、その時お聞きしたいと思います。
◆ヴェトナム語中級(嶋尾 稔)
言語文化研究所特殊講座の中級コースは原則として初級履修者を対象にしているのですが、ヴェトナム語中級はヴェトナム語未修者の受講を認めます。英語で書かれたヴェトナム語文法書を読んでいきます。未修者にも理解できるように例文を丁寧に説明していくことにいたしたいと思います。
シラバスに記したとおりオンデマンド形式で行います(オンデマンド教材は講義日の前日までにKLMSに公開します)。質問やコメントなどはKLMSのメール機能やディスカッション機能を用いてお寄せください。
◆ヴェトナム語文献講読(嶋尾 稔)
この講義では三田メディアセンターが所蔵している植民地期ヴェトナムの習俗を描いた版画集・デッサン集に描かれた20世紀初頭北部ヴェトナムの食文化について検討したいと思います。当時の代表的な料理や食品について、古今のヴェトナム語辞書の関連項目の記述を読むことでヴェトナム語に触れていただくと同時に食文化の持続性と変化を見ていきます。版画集には解説文がついているのですが、そこから少し古い時代のヴェトナム語表記(字喃と呼ばれます)を知ることができます。最後にyoutubeに現地のベトナム人が投稿した動画を通して、それらの料理や食品の実態を確かめたいと思います。
ヴェトナム語未修者の履修も認めます。ヴェトナムの食文化に関心のある方も歓迎します。
シラバスに記したとおりオンデマンド形式で行います(オンデマンド教材は講義日の前日までにKLMSに公開します)。質問やコメントなどはKLMSのメール機能やディスカッション機能を用いてお寄せください。
◆サンスクリット初級・中級 (入山 淳子)
サンスクリットの文はどういうつくりになっているのだろう。そう思われる方々に。
すこしイメージをと思います。
多くの場合、動詞の語根(例文では√で表しています)を基に、その母音を交替させるなどして名詞や動詞の語幹形をつくります。
そうして作られた語幹形は、文中に現れるとき、さらに末尾を変化させ(数・格/人称による)て、他の語との関係や意味などを知らせます。
こうしてできあがった語から元の語根を辿るとき、当時の文化的背景がみえてドキドキすることがあります。(たとえばここでは√granth "結わえる"から派生した名詞。)
ajñebhyo granthinaḥ śreṣṭhā granthibhyo dhāriṇo varāḥ /
a- √jñā- √granth śreṣṭha- √dhr̥ vara-
(否定) "知る" "結わえる" "スゴい" "保つ" "スゴい"
-in- -in-
"~をもっている"
dhāribhyo jñāninaḥ śreṣṭhā jñānibhyo vyavasāyinaḥ //
√jñā - (a)n(a)-in- vy-ava-√so
"理解する" "行い励む"
-ana- -in- -in-
(動作名詞化"~すること")
『マヌ法典』12.103
ものを知らない人より、本を読むひとはスゴい。
本を読む(だけの)ひとより、(それを)覚えているひとはスゴい。
覚えている(だけの)ひとより、(それを)解るひとはスゴい。
解る(だけの)ひとより、(それを)行い励むひとは(スゴい)。
毎授業前の自分より、授業後の自分は必ずスゴくなっている。
今日はどの"スゴい"になるか。毎回楽しみに、ご自身の目的に合わせて授業を活用してください。
◆ペルシア語初級・中級 (村山 木乃実)
ペルシア語は、イラン、アフガニスタン、タジキスタン、パキスタンの一部などで話されている言語です。文字の習得には少しハードルがありますが、文法は日本語と似ているため、日本語話者にとっては親しみやすい言語だと思います。
なかでもこのペルシア語が公用語となっているのが、今、国際関係の問題でニュースで取り上げられるイランです。この授業ではペルシア語の学習に加えて、イランの文化などについても学んでいきたいと思っています。文化的な側面は、国際情勢ではあまり重要視されないかもしれませんが、イランという国を知る上でも、そこに暮らす人たちを理解する上でも、とても重要な要素です。授業では中立的な立場から、古代から現代に至るまでの多文化的で豊かな文化的側面も学んでいきます。イスラーム以前の古代文化、シーア派、多民族社会、文学、音楽、映画、ディアスポラなど、多岐にわたるテーマを、みなさんの興味・関心に合わせて深掘りしていきたいと思っています。
この授業は主にオンデマンド方式で行いますので、履修者のみなさんはご自身のスケジュールに合わせて受講できます。
中級クラスでは、文法を復習しながら、履修者の関心に合わせたテキストを読み進めていきます。中級クラスを受講する方は、初級クラスを履修していることが望ましいですが、履修していなくても受講は可能です。履修者のレベルに合わせて柔軟に対応しますので、遠慮なくご相談ください。
みなさんの履修を心よりお待ちしております!
◆カンボジア語初級 (福富 友子)
授業は対面で行います。
カンボジア語は、文章の組み立てがとても簡単です。
動詞は過去形などに変化することがなく、名詞にも複数形などがありません。「私+食べる+ご飯(私はご飯を食べる)」が、文脈で現在のことにも過去のことにもできます。ですから、単語を徐々に増やしていけば、言いたいことが伝えられるようになる楽しさがあります。一方、文字はインド系の独特な文字で子音文字と発音記号を組み合わせて表し、発音も日本語では区別しない特徴、息を出しながら(あるいは息を出さないように)発音するといったことがあるなど、やや難しさもあります。
授業では、会話と文法、文字の書き方を並行して進めます。
カンボジア語を学べる機関はとても少ないので、カンボジアに関心のあるかた、東南アジアの言語や文字に興味のあるかたは、ぜひ履修してほしいと思います。
◆ビルマ(ミャンマー)語初級・中級 (加藤 昌彦)
東南アジア地域には、オーストロネシア諸語、オーストロアジア諸語、タイ・カダイ諸語、チベット・ビルマ諸語、ミャオ・ヤオ諸語などに属する様々な系統の諸言語が分布しています。公用語となっている主要な言語だけを見ても、フィリピン語とムラユ語(マレーシア語やインドネシア語はムラユ語の一種です)とテトゥン語はオーストロネシア系、ベトナム語とクメール語はオーストロアジア系、タイ語とラオ語はタイ・カダイ系、ビルマ語はチベット・ビルマ系に属します。これらの諸言語のうちオーストロネシア系、オーストロアジア系、タイ・カダイ系、ミャオ・ヤオ系の諸言語は多くがSVOあるいはVSOといった、いわゆるVO型の語順を持ちますが、チベット・ビルマ系の言語の多くは日本語と同じSOV型語順を持ち、ビルマ語もその例外ではありません。例えば、ビルマ語を簡略化した発音表記で示しますと、thamin sa「ご飯を食べよ」という文は、thamin「ご飯」とsa「食べる」という単語から成り立っており、日本語と同じ語順になっていることが分かります。基本語順が同じ言語では他の特徴も似てくることが知られています。ビルマ語も名詞や動詞に様々な要素が後置されるという点で日本語と同じ特徴を持っており、そのため日本語話者にとっては文の構造の理解が他の東南アジアの主要言語に比べて容易です。ただし、固有の文字を使うことや発音の特徴(声調がある、無気音・帯気音の区別がある等)から来る習得の困難さがあることも事実です。
この授業は次のような人にお勧めします。
(1)日本語と似たタイプの言語でどのようなことが起きるのか知りたい人。
(2)東南アジア諸言語に興味がある人。(ビルマ語には他の東南アジア諸言語と共通する特徴もたくさんあります。)
(3)東南アジア事情を深く知りたい人。
※(3)の点に関して補足しておきますと、2021年以降、ミャンマーは政情が極めて悪化しているため、現地でビルマ語を使いたいと思ってもなかなか行くことはできません。現在(2026年3月10日)の時点では、外務省から、ミャンマー全域にレベル3(渡航中止勧告)あるいはレベル2(不要不急の渡航中止)の危険情報が出ています。履修する場合はこのことを予め理解しておいてください。ミャンマーの政情不安の一因として、ミャンマーが様々な言語系統の言語を話す多種多様な民族からなる他民族国家であることが挙げられます。実は、上に挙げたすべての系統の言語がミャンマー国内で話されています。ミャンマーは、異なるアイデンティティーを持つ人々が一つの国をいかに運営するかという課題に何十年も直面してきました。
