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特殊講座2025年度春学期受講生の皆さまへ(2025年3月10日更新)

2025年度春学期の履修申告に際し、科目担当教員からのメッセージを掲載いたします。

◆カンボジア語初級 (福富 友子)
授業は対面で行います。
カンボジア語は、文法がとてもシンプルです。
また、動詞は過去形などに変化することがなく、名詞にも複数形などはありません。
そのため単語さえ覚えていけば文章が作れるようになります。
一方、文字はインド系の独特な文字で、子音文字と発音記号を組み合わせて表します。
授業では、会話と文法、文字の書き方を並行して進めていきます。
カンボジア語を学べる機関はとても少ないので、カンボジアに関心のあるかた、東南アジアの言語や文字に興味のあるかたは、ぜひ履修してほしいと思います。

◆サンスクリット初級・中級 (入山 淳子)
「こんなふうに学ばれたい。」
学問が本音を打ち明けている文があります。

vidyaa braahmanam etyaaha
sevadhis te 'smi raksha maam /
asuuyakaaya maam maadaas
tathaa syaam viiryavattamaa // 
Manusmrti 2.114(音声符号略)

単語をそれぞれ、基本の"形"と"意味"にもどすと、

vidyaa- braahmana-   aa-√i   √ah
学問 バラモン  やって来る 言う 
sevadhi-  tvad- √as   √raksh mad-
宝    あなた である 守る 私
asuuyaka-    mad-  maa   √daa
あら探しする者 私 ~するな 与える 
tathaa   √as  viirya- vat- tama-
そのように   力 もっている 最も

サンスクリットの単語は文のなかに現れるとき、
その頭中尾の"音"や"形"を変えてきます。
形が変わると基の"意味"に表情が加わります。

"学問はバラモンのもとにやって来て言った。
「私は君の宝だ。私を守れ。
ケチつけたがる者に私をわたしてくれるな。
そうなら私はパワー全開になれる。」"

当時学問を表すのはサンスクリットでした。
全開の姿とは。毎回楽しみに受講しませんか。

◆ビルマ(ミャンマー)語初級・中級 (加藤 昌彦)
 東南アジア地域には、オーストロネシア諸語、オーストロアジア諸語、タイ・カダイ諸語、チベット・ビルマ諸語、ミャオ・ヤオ諸語などに属する様々な系統の諸言語が分布しています。公用語となっている主要な言語だけを見ても、フィリピン語とムラユ語(マレーシア語やインドネシア語はムラユ語の一種です)とテトゥン語はオーストロネシア系、ベトナム語とクメール語はオーストロアジア系、タイ語とラオ語はタイ・カダイ系、ビルマ語はチベット・ビルマ系に属します。これらの諸言語のうちオーストロネシア系、オーストロアジア系、タイ・カダイ系、ミャオ・ヤオ系の諸言語は多くがSVOあるいはVSOといった、いわゆるVO型の語順を持ちますが、チベット・ビルマ系の言語の多くは日本語と同じSOV型語順を持ち、ビルマ語もその例外ではありません。例えば、ビルマ語を簡略化した発音表記で示しますと、thamin sa「ご飯を食べよ」という文は、thamin「ご飯」とsa「食べる」という単語から成り立っており、日本語と同じ語順になっていることが分かります。基本語順が同じ言語では他の特徴も似てくることが知られています。ビルマ語も名詞や動詞に様々な要素が後置されるという点で日本語と同じ特徴を持っており、そのため日本語話者にとっては文の構造の理解が他の東南アジアの主要言語に比べて容易です。ただし、固有の文字を使うことや発音の特徴(声調がある、無気音・帯気音の区別がある等)から来る習得の困難さがあることも事実です。
この授業は次のような人にお勧めします。
(1)日本語と似たタイプの言語でどのようなことが起きるのか知りたい人。
(2)東南アジア諸言語に興味がある人。(ビルマ語には他の東南アジア諸言語と共通する特徴もたくさんあります。)
(3)東南アジア事情を深く知りたい人。
※(3)の点に関して補足しておきますと、2021年以降、ミャンマーは政情が極めて悪化しているため、現地でビルマ語を使いたいと思ってもなかなか行くことはできません。現在(2025年3月10日)の時点では、外務省から、ミャンマー全域にレベル3(渡航中止勧告)あるいはレベル2(不要不急の渡航中止)の危険情報が出ています。履修する場合はこのことを予め理解しておいてください。ミャンマーの政情不安の一因として、ミャンマーが様々な言語系統の言語を話す多種多様な民族からなる他民族国家であることが挙げられます。実は、上に挙げたすべての系統の言語がミャンマー国内で話されています。ミャンマーは、異なるアイデンティティーを持つ人々が一つの国をいかに運営するかという課題に何十年も直面してきました。

◆ヴェトナム語初級 (嶋尾稔)
 シラバスに記した通りですが、隔週で対面―オンライン併用形式とオンデマンド形式の講義を行う予定です。対面―オンライン併用方式の回にオンラインで参加される方は声を出して発音練習が出来る場所で参加するようにしてください。4月14日(月)の初回は対面―オンライン方式です。初回につづり字と発音の基礎を一気にお話しする予定ですので必ず参加してください。また講義に対する要望など、その時お聞きしたいと思います。

◆ヴェトナム語中級 (嶋尾稔)
 言語文化研究所特殊講座の中級コースは原則として初級履修者を対象にしているのですが、ヴェトナム語中級はヴェトナム語未修者の受講を認めます。英語で書かれたヴェトナム語文法書を読んでいきます。未修者にも理解できるように例文を丁寧に説明していくことにいたしたいと思います。
 シラバスに記したとおりオンデマンド形式で行います。質問やコメントなどはKLMSのメール機能やディスカッション機能を用いてお寄せください。発音などを確認したい場合は対面方式で対応することも可能です(言語文化研究所〈南別館〉の会議室で対応します)。

◆ヴェトナム語文献講読 (嶋尾稔)
 この講義では三田メディアセンターが所蔵している植民地期ヴェトナムの習俗を描いた版画集・デッサン集に描かれた20世紀初頭北部ヴェトナムの食文化について検討したいと思います。当時の代表的な料理や食品について、古今のヴェトナム語辞書の関連項目の記述を読むことでヴェトナム語に触れていただくと同時に食文化の持続と変化を見ていきます。版画集には解説文がついているのですが、そこから少し古い時代のヴェトナム語表記(字喃と呼ばれます)を知ることができます。最後にyoutubeに現地のベトナム人が投稿した動画を通して、それらの料理や食品の実態を確かめたいと思います。
 ヴェトナム語未修者の履修も認めます。ヴェトナムの食文化に関心のある方も歓迎します。
 質問やコメントなどはKLMSのメール機能やディスカッション機能を用いてお寄せください。発音などを確認したい場合は対面方式で対応することも可能です(言語文化研究所〈南別館〉の会議室で対応します)。