2021年度公開講座の開催

2021年8月31日

2021年度言語文化研究所公開講座を下記の通り開催いたしました。

テーマ:ミャンマーの民族
ミャンマーには言語系統の異なる様々な民族が暮らしています。ミャンマー政府によるとその数は135とされます。今年2月のクーデター以降、ミャンマー情勢は混乱を極めています。この混乱にはこの国の民族問題が無縁ではなく、そのためミャンマー情勢を理解するには民族問題の理解が必要となります。本講座では、ミャンマーの民族を取り巻く問題について、言語・宗教・歴史の観点から読み解きます。

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■ 第1回 10月2日(土) 14時00分~16時00分 
 講師:加藤 昌彦 (慶應義塾大学教授)
 演題:民族と言語

ミャンマーには100を優に超える多数の民族が住んでおり、それら民族の話す言語も多種多様です。少数民族の言語は多くの場合ビルマ語とは異なる別の言語であり、ビルマ人が聴いても理解できません。系統も様々です。本講演では、前半で主要8民族(カチン、カヤー、カレン、チン、ビルマ、モン、ラカイン、シャン)の言語の系統と特徴について解説し、後半ではカチン諸民族、ビルマ語諸方言を話す諸民族、カレン系言語を話す諸民族を例に取って民族と言語の関係に一対多、多対一、多対多といった複雑な対応関係が見られることを観察し、民族意識と言語の種類が必ずしも連動しないことを指摘します。


■ 第2回 10月9日(土) 14時00分~16時00分
 講師:藤村 瞳(日本学術振興会特別研究員)
 演題:民族と宗教

多民族国家であるミャンマーは、同時に多宗教社会でもある。上座仏教徒が国民の大半を占める同国で、宗教的少数派はどのように暮らし、政治や社会の変化にいかに対峙してきたのか。本講演では、一例としてキリスト教を取り上げ、その歴史背景も含めて紹介する。具体的には、時代ごとにビルマ王朝、イギリス植民地政府、国民国家ミャンマー政府と統治者が移り変わるなかでのキリスト教コミュニティの動態を解説する。これをつうじ、「ミャンマーのキリスト教徒=少数民族」という画一的な理解では捉えきれないミャンマーの多様性についても考えてみたい。


■ 第3回 10月16日(土) 14時00分~16時00分
 講師:池田 一人(大阪大学准教授)
 演題:民族と歴史

ミャンマーの民族を歴史のなかで考えると、分からないことがたくさん出てきます。王朝伝統をもたなかったカレンは前近代、どのような民族であったでしょうか。植民地期の史料にロヒンギャの名はまず見出せませんが、彼らはどこにいたのでしょうか。パガン朝はビルマ族最初の王朝ですが、その前半にビルマ語の痕跡がほとんど残っていないのはどうしてでしょうか。言語や属性を基準とした民族理解だけでは、これらの質問に答えられないようです。しかし、民族という意識は歴史の中でつくられるものだと考えると、どうでしょうか。本講義では歴史における民族ということ、そして民族の歴史ということを考えてみたいと思います。


*受講料:無料
*事前申込制:こちらのフォームからお申し込みください  ※受付終了
・お申し込み後に当方より登録完了のメールが届きましたら、受付完了となります。
 メールが届かない場合は、慶應義塾大学言語文化研究所までお問い合わせください。
・お申し込みいただいた方には、開催前日までに事務局より別途オンライン開催情報を
 個別メールにて配信いたします。
 ※第三回参加申込者へ10/15(金)10:40にウェビナー招待URLをお送りしております。
  メールが届いていない方がいらっしゃいましたら、事務局までご連絡ください。

*申込締切:各講座開催日3日前まで
*チラシのダウンロードはこちら

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