2018年度公開講座の開催
2018年7月26日
2018年度言語文化研究所公開講座を下記の通り開催いたしました。
テーマ:碑文からみるローマの歴史
墓碑銘、戦勝記念碑、器に書かれた文字、はたまた壁の落書きなど、実に様々な形で残されている「碑文」は、古代ローマ世界の息吹をダイレクトに私たちに伝えてくれるものであり、また、もう一方の重要な資料である古典文学作品にはあまり現れてこない様相に、光を当ててくれるものでもあります。本公開講座では、碑文を主な資料として活発な研究をしておられる三人の研究者の方々に、碑文研究の面白さをたっぷり語っていただきます。
■ 第1回 10月6日(土) 14時00分~16時00分
講師:大清水 裕 氏(滋賀大学准教授)
演題:北アフリカ出土碑文に見るローマ皇帝ハドリアヌスと軍隊
ローマ皇帝ハドリアヌスは、帝国各地を旅したことで知られている。その旅の一環として彼は北アフリカの内陸部も訪れ、同地に駐屯する兵士たちを前に演説を行った。その演説は、皇帝の訪問を記念して製作されたモニュメントに刻まれ、現在まで残されている。本講演では、その碑文から知られる皇帝演説の分析を通して、古代ローマによる地中海世界の支配の実態を明らかにすべく試みたい。
■ 第2回 10月13日(土) 14時00分~16時00分
講師:志内 一興 氏(武蔵野音楽大学講師)
演題:ローマ人の墓石は語る-2000年前からのメッセージ
石に刻まれた文字が、「碑文」として数多く、ローマ時代から現代に伝わっています。数十万点にも達する碑文の大半は、実は墓石に書かれた「墓碑銘」です。
現代の都市では「墓地」にまとまって立つお墓ですが、ローマ時代のお墓には、まったく別の定位置がありました。町と町とをつなぐ街道沿いです。街道に沿ってずらりとならぶお墓に、ローマ人は思い思いの墓碑銘を書き込んだのです。
こうした立地条件から、墓碑銘にはときに、街道を歩く通行人への呼びかけがあらわれます。では2000年前の人々は、どんな言葉で、どんな思いで、街道を行く旅人に呼びかけたのでしょう。墓碑銘としてのこる先人からのメッセージを紹介したいと思います。
■ 第3回 10月20日(土) 14時00分~16時00分
講師:中川 亜希 氏(上智大学准教授)
演題:イタリアの聖域と社会
古代ローマには、共通する要素が見られる場合もあるものの、民族ごと、共同体ごとに多様な神々が存在しました。ローマが支配をひろげていく際、被征服者たちの神々は、ローマの国家祭儀に導入されることも、消滅することも、あるいは私的に信仰が維持されることもありました。ローマの支配下に置かれた際、各々の共同体の神々とその聖域がどのように扱われたのかを見ることは、ローマの支配とその互いの社会への影響を考える上で有効な手段となります。本講義では、碑文を主な史料とし、具体例から考察します。
*会 場: 慶應義塾大学三田キャンパス 北館ホール
https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html → キャンパスマップ【1】北館の1階です
*受講料: 無料
*申 込: 不要(直接会場にお越しください)
*チラシのダウンロードはこちら