言語学コロキアム『句構造の派生と解釈をめぐって』が開催されました

2013年12月 6日

105日・6日、講師に南山大学の斎藤衛教授をお迎えし、3部構成のセミナー形式で、言語学コロキアム「句構造の派生と解釈をめぐって」が開催された。

 

1部では、併合の自由適用と句構造が示す一般化との間に緊張関係が存在する現状を踏まえ、日本語文法の検討を通して、カートグラフィーに代表される句構造の「型」を選択制限と意味的整合性から説明する分析が提示された。

 

2部では、日本語文法の特質をphi素性一致の欠如から説明するKuroda (1988) 以降の研究成果を踏まえ、項削除、多重文法格、スクランブリング、語彙的複合動詞、主要部後置型句構造を、phi素性一致の欠如に関連付けて説明する分析が提示された。

 

3部では、疑問文における不定代名詞の非顕在的移動分析を一般化するなか、不定代名詞は、意味素性を欠く演算子(unvalued operator)として捉え直され、小辞により意味素性が与値されるとする斬新な分析が提案された。

 

2日間、若手研究者を中心に延べ100名を超える参加者があり、会場では新しく提案された分析とその帰結について質疑応答が行われ、句構造の派生と解釈に関する今後の課題についても理解を深める場となった。

 

今回新しい試みとして、早稲田大学の成田広樹、本研究所の北原久嗣、両教授によるチュートリアルをコロキアム前に行い、コロキアムが前提とする基礎仮説を確認することができた。今後も必要に応じてチュートリアルができればと考えている。

 

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