2019年度公開講座の開催

2019年8月 8日

2019年度言語文化研究所公開講座を下記の通り開催いたしました。

テーマ:ビザンツの文化的伝統の形成
ビザンツ帝国の人々は強烈な「ローマ人」としての意識を持ちながらも、次第に古代文化から離れ、西欧と中東に対し独自性を主張する文明と文化を築き上げました。そして、それはバルカンからロシアに至る地域に継承されていきます。本講座は、世界史に大きな存在を占めつつも知られざるビザンツ文化の形成と展開を、人々が生きた社会・政治・キリスト教の三側面から鮮やかに描きます。

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■ 第1回 10月5日(土) 14時00分~16時00分 
 講師:田中 創 氏(東京大学准教授)
 演題:カルケドン公会議議事録から見る初期ビザンツ社会

本報告では、カルケドン公会議議事録に伝わる、主教位をめぐる生々しい争いを材料にして、ヘレニズム世界の社会秩序が、キリスト教が浸透していく中でどのように受け継がれ、組み替えられていったのか、その一端を見ていきたい。


■ 第2回 10月19日(土) 14時00分~16時00分
 講師:大月 康弘 氏(一橋大学教授)
 演題:コンスタンティノス7世ポルフィロゲニトス(在位905~959年)
    『帝国の統治について』とは

コンスタンティノス7世ポルフィロゲニトス(在位905~959年)による『帝国の統治について』De administrando imperio に取材して、10世紀ビザンツ皇帝の世界認識と「帝国」統治の理念について紹介します。本書は、息子ロマノス2世への帝国経営指南書でした。そこには、帝国周辺に広がる諸地域、諸民族に関する注目すべき記述が見られます。内容を概観し、ビザンツ皇帝の「世界観」を考察します。


■ 第3回 10月26日(土) 14時00分~16時00分
 講師:大森 正樹 氏(南山大学名誉教授)
 演題:ビザンツ的綜合の精神
    ―グレゴリオス・パラマスに見る伝統の「継承」と「改新」―

ビザンツの精神世界(キリスト教神学、哲学等)については、西欧のそれに比べ認知度は高くない。この講演では西欧とは一味違うビザンツの精神世界の特質を西欧との比較を通して明らかにし、具体的には、グレゴリオス・パラマスの神学教説が生み出される現場を探訪したい。


*会 場: 慶應義塾大学三田キャンパス 北館ホール
       https://www.keio.ac.jp/ja/maps/mita.html → キャンパスマップ【10】北館の1階です

*受講料: 無料

*申 込: 不要(直接会場にお越しください)

*チラシのダウンロードはこちら