永田文庫

沿革
柳田文庫
永田文庫
市河文庫

(CATALOGO DE LA BIBLIOTECA NAGATA より)

松本信広
昭和41年1月18日

永田寛定先生は慶応義塾外国語学校が昭和17年10月に開校せられた時、西斑牙語科の講師として来塾せられ、その後昭和37年3月退職せられるまで20年の永きに亘り、孜々として倦まず、育英の道に努められた。其の間、昭和34年慶應義塾大学商学部の開設せられるや、その西斑牙語講師をも併任せられた。先生はこの久しい御縁故により、本塾に対し、特別の関心を抱かれ、その御所蔵にかかる西斑牙語文献蒐集の一部を一括して本塾言語文化研究所の前身語学研究所に譲られ、後進者の利用の道を開かれた。本塾に於ては西斑牙語の図書少なく、従って此蒐集はまことに貴重なものであったので、之に永田文庫の名を附し、永久に保管して後世に伝えることとした。その図書の整理には初め井筒俊彦教授が手をつけられたが、昭和39年3月以来本研究所員柏木英彦君が藤井昇助教授の指導のもとに之に専心従事され、此度その目録を刊行することとなった。

永田先生は明治18年1月1日のお生れであり、明治42年3月東京外国語学校西斑牙語科を卒業せられ、爾後東京外国語大学の教授を初めとして我国に於ける西斑牙語教育に多大の貢献をせられたことは人の知る所である。今年81歳の高齢に達せられたのでそのお祝いの意も含め、本書を座右に呈することの出来たことは、私共の深く悦びに堪えぬことであり、今後もますます御長寿ならんことをお祈りしたい。また最後に編者の努力をあわせて感謝する次第である。